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メダリオン草花獣面文ペルシャ絨毯

製作地 : イラン・マシュハド

製作工房 : アリー = ハーン・アムーオグリー

製作年代 : 1920年代

サイズ : 293×206cm

パイル素材 : 羊毛

織り密度 (結び・横×縦/cm) : 7×8 

ダラ・コレクション

ホラーサーンの中心都市マシュハドは20世紀に入り注目されるようになったペルシャ絨毯産地である。

絨毯づくりの伝統はあるものの、産地として記録が残ることはあまりなく、すべてホラーサーンで片付けられてきた。古いものだとホラーサーンといえば、ヘラート(現アフガニスタン)の可能性が高くなるし、近代でもホラーサーンだからマシュハドとは限らず、場所の特定は難しい。また現物の絨毯の存在も古いものは残っていないらしい。マシュハドは常に東方のウズベクの略奪に曝されてきたため、持ち去られている可能性も高い。近代のマシュハドにおける絨毯づくりは、タブリーズ商人の梃入れによるところが大きく、当時タブリーズの職人も数多くマシュハドへと移住した。そのため、マシュハドでは従来の左右非均等結びとタブリーズから持ち込まれた左右均等結びの両方の織り方が並存している。

 

堂々たるメダリオン・コーナーをもつこのペルシャ絨毯は、20世紀に高い評価を受けるアムーオグリー工房の作品である。

中央の楕円に近いメダリオンは、パルメットとエスリーミーで構成され、その上下のカルトゥーシュはペンダントと合体した形をとっている。そしてその先にはパルメットのような装飾あるが、よく見ると中央には獅子のような獣面があり、周囲をメドゥーサの頭の蛇のような、また鳥のような生き物が取り囲んでいる。この獣面装飾はメダリオンの左右、四隅にも形を変えて現れる。フィールドとコーナーの間は太い縁取りの連花葉で装飾され、フィールドを浮き上がらせている。フィールドは、あまり様式化していない変化に富んだパルメット花文が散在し、やや直線的な蔓文で繋がっている。コーナーは螺旋のエスリーミーで飾られ、別のリズム感を演出している。メインボーダーにも、パルメットのような獣面装飾、パルメット花文、ロゼット花文が交互に配され、細かい花文のアラベスクを展開している。インナーガードとアウターガードはそれぞれ別のモティーフ展開を図るなど、手の込んだ意匠となっている。

 

 

アムーオグリー工房はアブドル=モハンマド・アムーオグリー(1871-1937)が、20歳ほど歳の離れた弟アリー=ハーン(1892-1957)と共に開設したマシュハドの伝説的な工房で、この絨毯は弟アリー=ハーン(1892-1957)の作品と見られる。絨毯上方アウターガード中央、赤いカルトゥーシュにアリー=ハーンのものとわかる銘が織り込んである。

 

解説文

河崎憲一

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